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胎児診療外来

 

〜お腹の中の赤ちゃんにも“患者さん”として向き合う〜

どうして生まれる前に見つける必要があるのでしょう

 

 

重症な心臓の病気・肺や腸の病気の中には、生まれる前に診断をすることで生まれた後の対処がよりすみやかになるものが多くあります。

 

いつでもどこでもどんな病気でも対応できないのは仕方ないことですが、早く見つけることで、生まれる前から赤ちゃんの治療の計画をたてることができたり、お産の予定を組むことができたりします。

 

また、生まれる前からそれぞれの病気に対応が可能な専門医と相談する事で、お母さん・お父さんもいろんな準備をすることができます。また、一部の病気では、お腹の中で治療を行うことで(胎児治療)、病気が進むのを防ぐ事や治す事ができます。

 

 

ただ、あらゆる病気がわかるわけではありません。

生まれてこないとわからないものが多いのは事実です。心臓にあいた小さな穴、超音波ではみえないものは診断できません、もちろん未来を正確に予測する事はむずかしいでしょう。でも、私たちは、お腹の中の赤ちゃんにも“患者さん”として向き合いたいのです。

 

 

もしどこかで「赤ちゃんの病気がある、疑わしい」と言われた方の受診も受け付けています。

 

詳細な超音波検査を行い、場合によっては染色体検査なども行って、お腹の赤ちゃんに向き合いましょう。

 

 

 

1.胎児スクリーニング

 

“Fetus as a Patient”

 

という言葉があります。

文字通り「患者さんとしての胎児」です。

 

誰しもお腹の中の赤ちゃんに無事に生まれてきてほしいと願っていますし、健やかに成長してもらいたいと望んでいます。私たち、産婦人科医療に関わる医療者の願いも同じです。

しかし、現実には赤ちゃんのうち1-3%は先天的な病気を持って生まれてくることも知られています。

当院では妊娠中期(妊娠19から22週)に、超音波検査で赤ちゃんを「詳しく」診るプログラムを行っています。

 

当院には日本超音波医学会専門医(産婦人科領域)が2名在籍しており、超音波を用いた胎児診断を行っています。

胎児スクリーニングの対象となるのは、

 

•当院で妊娠初期から妊婦健診を行っている妊婦様

•分娩は他院の予定で、妊娠中は当院で健診を行っている妊婦様

•他院で検診中であり、当院の「胎児スクリーニング」を希望される妊婦様

としています。

 

※他院から、当院のスクリーニングを希望される場合は、紹介状をご用意いただく事が望ましいです。紹介状がない場合でも対応いたしますが、通常の診察料よりも高額となります。

2.非確定的検査

近年では非侵襲的出生前診断(NIPT)が日本でも導入され、高齢妊婦様を対象として、妊娠初期の母体採血から、胎児の染色体異常(21トリソミー:ダウン症など)を非常に高い確率でリスク計算を行う方法が広がりつつあります。しかしこの検査は基本的に35歳以上であることが条件であり、かつ高額であることが問題となっています(カウンセリング料と合わせて20万円以上)。

 

当院では超音波検査で計測した胎児後頚部浮腫像(NT:Nuchal Translucency)とご本人様の年齢から、胎児染色体異常のリスク算定を行っています。この検査を行うことで、年齢による染色体異常のリスクも高率であるか、低率であるかといった結果が判明します。

FMF(fetal medicine foundation)からNT計測の認定を得た医師が当院には3名在籍しており、妊娠11週〜14週の期間で施行することができます。(なお、NTとは妊娠初期に超音波検査で見られる、胎児の後頚部に存在する低エコー域を示します。時にこの低エコー域を‘‘むくみ’’と表現することもありますが、このNTはどの胎児にも必ず見られます。)通常よりもNTが厚い場合に、染色体異常や心形態異常、その他の病気の可能性が高くなるといわれています。ただしNTが正常な厚さでも、染色体異常が無いとは言えませんので、「非確定的」と呼ばれています。NT

増加は、心臓の形態異常、頭頚部の血流うっ滞、リンパ系還流障害、胎児貧血などの秩序で発生するといわれています。また、NTの測定に加え、同時期の胎児の鼻骨の有無や、心臓房室弁逆流の有無なども、胎児の病気の可能性を示すものとして知られています。

このリスク計算で高率であるといった結果の場合、次に説明する羊水染色体検査を検討させていただきます。また、今後、診断精度の向上を目指し、NTに年齢と母体血清マーカーを組み合わせた検査を開始予定としています。

 

3.確定的検査:羊水染色体検査

NT計測などでリスクが高いと判断された方、高齢(35歳以上)の方、前回のお子様が何らかの染色体異常などであった方などが対象となります。妊娠15、6週以降から施行可能です。これは母体から針を子宮内に穿刺し胎児の羊水から染色体の診断を行う検査(図)で、2.の非確定的検査に比べて、ほぼ100%の精度であることから、確定的検査とも呼ばれます。子宮を穿刺しますので、痛みや流産(約0.3%)の危険性も伴います。

当院には臨床遺伝専門医が2名在籍しており、外来にて検査の意義・注意点などの注意事項を確認して頂いてから検査を行います。保険外適応ですので、費用は12万円程度を負担していただきます。

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